自分の応援団になるために心の目で見て、何かを学ぶ事

タイトルのテーマで、昔、創作した、
「ならないピアノ」という、朗読とピアノ即興演奏の
シナリオを、書いておきます。

「ならないピアノ」
ある日のこと、典子は、先生のところで、
ピアノを弾いていました。

その日、典子は、先生とは、一言も口をきかず、
手はひざの上に置いたきりで、ただ、じっと
座っているだけでした。
困った先生は、「もう帰って良いわよ」と、
言いました。

夕飯の時に、お母さんから、
「さっき、先生から電話があったわ。典子は、
ピアノをやめるのね。やる気がなくて、先生に口を
きかないで、反抗ばかりしている子は、
どんな先生でも迷惑なのよ」と言いました。

お父さんは、くどくどお説教して、お姉ちゃんは、
「やる気がない、あんたが悪いんだよ」と
言いました。

典子は、3つ年上のお姉ちゃんが、
「あんた、こんな事もできないの?」と言う事が、
よくあって、そういう時のお姉ちゃんは、憎たらしくて、
大嫌いです。

でも、勉強も運動も、ピアノも、なんでもよくできて、
明るくて、元気が良い、お姉ちゃんは、友達も多いし、
困っていると、やさしく、手伝ってくれる事もあります。

お姉ちゃんは、私立受験で、ピアノはやめたけど、
先生は、とてもがっかりしていたそうです。

典子も、お姉ちゃんのように、なんでもできて、
お母さん、お父さんに、喜んでもらいたい。
先生に、かわいがられたい。

でも、典子が、どんなに頑張っても、お姉ちゃんの
ようには、できないのです。
典子ときたら、先生に
「そこ、間違ってるわよ」と、言われただけで、
「あなたは、バカだ」と言われているようで、
乱暴に、ピアノを弾いてしまう。

先生に、可愛がられたいのに、先生を怒らせて
ばかりで、典子は、どうして良いか、分からなく
なってしまったのです。

翌年、お姉ちゃんは、志望校の私立中学に合格しました。
でも、「みんな、勉強ができるから、小学校のがんばり程度
では、負けてしまうんだよ」と、疲れているお姉ちゃん。

お母さんも、お父さんも
「もっと、がんばらないとダメだよね」と、言いました。

夏休みの激しい雷雨の日、典子は、隣に住むおじいちゃんの
家で、テレビを見ていました。
ふと、庭を見ると、お姉ちゃんが、激しい雨にうたれて、
大声で、わめいていました。

「悔しい!なんで、できないのさ!こんなの嫌だ!」

典子は、庭に出て、お姉ちゃんと一緒に、大声でわめいて、
2人で、庭中を駆け回りました。
昼寝をしていた、おじいちゃんが、起きだして、
うんざりしたように、「なんの騒ぎだ」と、言いました。

お姉ちゃんは、明るい顔になって、
「なんか、すっきりしたよ。いっしょに、シャワーあびよか」
と言ったので、2人で、ふざけながら、お風呂で、
シャワーをあびて、着替えました。

その日から、お姉ちゃんは、部屋の勉強机で、勉強するのは、
やめて、おじいちゃんの家で、庭を眺めながら、
勉強するようになりました。

おじいちゃんの家の庭は、ほったらかしで、
草が、ぼうぼうに生えていて、小さな池では、
おたまじゃくしが、泳いでいて、かえるが、
飛び跳ねているのを、見たことがあります。

おじいちゃんは、夏休みになると、典子と、
お姉ちゃんを、キャンプに連れていってくれました。

でも、小学4年生から、塾の特訓で、お姉ちゃんは、
キャンプに行けなくなり、おじいちゃんは、
テントを買って、庭で、キャンプしました。

典子とお姉ちゃんは、テントの中で、
歌ったり、踊ったり、ゲームをして、遊びました。

それから、1年が過ぎて、おじいちゃんの家は、
なくなりました。

おじいちゃんは、急に、家で倒れて、歩くことが、
不自由になり、独り暮らしが、できなくなったので、
隣りの息子の家に、同居することになったのです。

典子も、お姉ちゃんも、おじいちゃんの家が、
なくなったのは、さびしかったです。

家がなくなる、一週間前に、不思議な事が、
ありました。

歩けなくなった、おじいちゃんは、落ち込んで、
ずっと元気がなかったです。

おじいちゃんの家で、テレビを見ていた典子は、
突然、小さい頃に、亡くなったおばあちゃんの声が、
きこえてきました。

「おじいちゃんを、助けて!!」

「ねえ、おじいちゃん、小さい頃、庭で、
かえるが、飛び跳ねているのを見て、
一緒に、歌ったよね」
典子は、大きな声で、「かえるのうた」を、
歌いました。

その時でした。庭の草や木が、一斉に、
「生きて!!生きて!」と、おじいちゃんを、
応援しているのが、典子には、見えたのです。

勉強に没頭していた、お姉ちゃんが、
「うるさいよ!静かにして!」と、怒りました。

典子は、
「ねえ、今、庭の草や木が、おじいちゃんを、
応援しているんだよ」と、言いました。
でも、お姉ちゃんは、
「おかしな事、言ってるんじゃないの」
と怒りました。

おじいちゃんは、
「大丈夫だ。心配するな」と、泣いていました。

「おじいちゃんには、応援が見えるのだ」
典子は、胸がいっぱいになり、おじいちゃんと、
抱き合って、泣いてしまいました。

お姉ちゃんは、わけが分からず、
「なんで泣いているのよ」と、
とまどっていました。

その日の夜、典子は、夢のなかで、亡くなった
おばあちゃんに、会いました。

おばあちゃんと二人で、おじいちゃんの庭を、
眺めていると、やがて、夕焼け空になりました。

「不思議だねえ。よく見る夕焼けなのに、
こんなに、きれいだなんで、思わなかった。
おばあちゃんと、一緒に見る、夕焼けは、
なんで、こんなに、きれいなのだろう」
と典子。

「忙し過ぎるとね、目の前に、すてきな事、
楽しい事、面白い事が、たくさんあるのに、
気づかないで、通りすぎてしまうんだよ」と、おばあちゃん。

やがて、どんどん暗くなり、無数の星が、空いっぱいに、
広がりました。

「人間なんて、空に比べたら、ちっぽけなものだね」
と典子。

おばあちゃんは、
「たくさんの星が住んでる、大きな大きな空だけど、
人間には、かなわない事が、一つあるよ。
人間は、心を持っている。だから、人間が、心で、
感じれば、大きな空も、人間の心のなかに、
入ってしまう。

小さな人間だけど、この広い宇宙で、典ちゃんは、
一人しかいない。典ちゃんの心は、1つしか
ない大切なものなのだよ。誰も、かわりは、
できないんだよ」
と言いました。

そして、
「典ちゃん、ありがとね。おじいちゃんは、
歩けなくなって、絶望して、死ぬ事ばかり、
考えていたよ。でも、典子の応援で、
生きようと思ったの。典子は、草や木が、
応援してくれたのが、見えたのね。
心で、感じたのね。
忙しく、無理をして、頑張りすぎると、
心の目で、見えなくなるのだよ。
心の目で、感じなくなるのだよ。

おじいちゃんは、歩けなくなった。でも、
できていた事が、できなくなったから、
不幸になったのではないのよ。
今、現在のありのままの自分を差別する心が、
不幸なのよ。

典ちゃん、いっぱい遊んで、いっぱい笑って、
いっぱい泣いて、いっぱい楽しんで、
いっぱい悩んで、心で感じて、心で学んで、
心の目で見て、どんどん、ありのままの
自分を好きになって、自分で、自分の応援団になって、
幸せになりなさい」
と言いました。

翌朝、典子は、おじいちゃんの庭で、
「雑草さん、樫の木さん、幸せな思い出をありがとう」
と、お礼を言いました。

典子は、太陽が、明るく微笑んで、草や木や、
かえるや、ちょうちょうや、とんぼや、
たんぽぽや、いろいろな命を、あたたかく、
抱きしめて、太陽のそばで、亡くなった
おばあちゃんが、微笑んでいると思いました。

そして、誰も弾かなくなった、居間のピアノで、
「かえるのうた」を、右手だけで、弾いてみました。

典子は、心のなかで、叫びました。

「私は、自分も、お姉ちゃんも、嫌いになりたくない。
もっと、自分もお姉ちゃんも、好きになりたい。
  人よりも、少しでも、早く、できるように
と、競争させるだけの、自分も人も好きになれないピアノ。
  あんた、こんな事もできないの。かわいそうね
と、人をバカにする、ピアノは大嫌いだ。

みんなで、競争するだけで、なにかを学ぶなんて、
悲しいよ。

私は、亡くなったおばあちゃんのように、
みんなの良い所を見つけて、みんなで、楽しく、
仲良く、みんなで、幸せになるために、
なにかを、学びたいんだ。
私は自分を、愛したい。
人も愛したいんだよ」

あさげピアノハウス


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